フェイスブック主導の仮想通貨「リブラ」が発行中止 G20の規制合意、米規制機関のGFIN参加が示す意味
2019/11/15更新
フェイスブックは10月23日、仮想通貨「リブラ」の発行延期を発表した。同社が主導するリブラ・アソシエーションにはクレジットカード会社やPayPal、ウーバーなど名だたる企業が多数参画していたが、なぜ計画は頓挫したのか。
リブラ最大の特徴は、価格が不安定な仮想通貨と異なり、その価値が現実の資産で担保される点。米ドル、ユーロ、英ポンド、日本円等との連動が予定されていた。また、仮想通貨は送金や決済が安くスムーズに行えるため、クレジットカード各社やEC取引を行う企業は、リブラの発行により巨大なブルーオーシャンへリーチできる。一方、そこまで利便性の高い仮想通貨が普及すれば、米ドルやユーロが築いてきた経済圏がリブラに代わりかねない。そして、銀行口座経由での送金が必要なくなるため、従来の経済制裁が無効化する恐れもある。政界・金融界の大物が相次いで批判したのも納得できよう。
結果、10月18日のG20財務相・中央銀行総裁会議で「リブラなどのグローバルな『ステーブルコイン』は厳格な規制なしで発行を許可すべきではない」と合意。さらに、アメリカ証券取引委員会(SEC)などの米4政府機関が、英金融行為規制機構(FCA)主導の世界的な金融イノベーションネットワーク「GFIN」に加入。リブラなど「ステーブルコイン」に対する規制の方向性を定めることになりそうだ。ただし、FCAは仮想通貨自体には友好的。現在の政界・金融界の思惑と「ステーブルコイン」の公益性との折り合いをどのようにつけるのか注目される。