大手が軒並み最高益を更新した人材派遣業界 「同一労働同一賃金」が企業に及ぼす影響とは?
2018/12/10更新
労働契約法と派遣法が改正され、「派遣期間 3年ルール」が適用された影響が懸念された人材派遣業界。蓋を開けてみれば業界最大手のリクルートHD、2番手のパーソルHDがともに最高益を更新するなど、大手のほとんどが増益となった。
好調の理由は1.48倍と43年ぶりの高水準である有効求人倍率だ。全体におよぶ人手不足により、派遣会社の需要が伸びている。日本経済新聞によれば、これまで上がりにくかった製造・販売分野の派遣料金も上昇。今秋の料金交渉では各社平均で前年比3%前後上がり1,600~2,000円/月に。東海や九州では上げ幅が5%に達した会社もあり、人手不足の深刻化が浮き彫りとなった。
まさに派遣会社の“ひとり勝ち”だが、そのカギを握るのは、今年6月に成立した働き方改革関連法によって2020年4月以降に導入されることが決まった「同一労働同一賃金」だろう。派遣社員の場合、「派遣先の労働者と均等」「派遣元での待遇決定」のいずれかを選択する方式になる。派遣社員を受け入れる企業側は、派遣元企業との料金交渉を行っているため、後者が選択されるケースが多いことが予想される。
人手不足が進んでいることで、人材派遣業界内での人材確保競争が過熱。小規模事業者の倒産が増えているため、大手がさらに業績を伸ばすことは間違いない。派遣社員を受け入れる企業側は人件費の高騰に悩まざるを得なくなる。中小事業者は早めに対策を講じる必要がありそうだ。