事業機会創出から人材確保まで期待できる? 中小企業の新たな評価指標「SDGs」の可能性
2018/9/11更新
「SDGs」という言葉をご存じだろうか。2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標」のことで、経済、社会、環境の各分野にわたった17のゴールが設定されたものだ。国連内の「ビジネスと持続可能な開発委員会(BSDC)」は、潜在的な市場規模を全世界で年間1,340兆円と見込む。
国連などと聞けば、国内の中小企業には縁遠いイメージがあるが、実は今、中小企業を評価する指標として注目を集め始めている。なぜならば、SDGsが掲げる「教育」「エネルギー」「成長・雇用」「イノベーション」といったゴールは、身近な社会課題と直結しているからだ。日本でも、地方自治体や青年会議所なども含め、SDGsを地方創生につなげようとする試みが具体化。内閣府は436団体が参加する「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」の推進体制も固めた。環境省も具体的な取り組み方や事例をまとめた中小企業向けの「SDGs活用ガイド」を公表した。
すでに実績を挙げている中小企業もある。金沢市で自動車のリサイクルビジネスを展開する会宝産業株式会社は、ブラジルで年間10万台の中古自動車をリサイクルするバリューチェーンの構築で現地の雇用創出に注力。中小企業として初めて国連のBCtA (ビジネス行動要請)の認証を受けた。その結果、採用応募が増えるなど人材確保対策にもつながったという。日本国内での認知度は15%程度のSDGsだが、今後中小企業を成長に導くための重要な経営指標になるかもしれない。