法人税率の中小特例が見直し
年間所得10億円超は「税率17%」に
2025/1/29更新
令和7年度税制改正では、「中小企業に対する法人税の軽減税率」が大きく見直されることになった。
現在、資本金1億円以下の中小企業の法人税率は、年800万円以下の所得⾦額について本則19%とされており、令和7年3⽉31⽇までの時限的な措置として、さらに15%に軽減されている(中小企業に対する法人税の軽減税率=租税特別措置)。今回の改正では、この租税特別措置部分の対象から「所得金額が年10億円を超える事業年度」が除外される。つまり、所得金額が年10億円を超える事業年度については、今後、年800万円以下の所得⾦額について、15%ではなく17%の税率で法人税が課されることになる。
わが国では、世界的な法人税率の引下げ競争が展開される中、2010年代に、設備投資や雇用・賃上げの促進、立地競争力の強化を図るため、法人税率が23.2%まで引き下げられた。しかし政府は「法人税率が設備投資や賃金に与える影響は限定的」「わが国の法人税改革が国内投資の増加に効果的でなかった」と明言するなど、法人税改革が失敗に終わったことを認めており、法人税については本格的な“上げトレンド”に入っている。
実際、今回の税制改正大綱にも「法人税率を引き上げつつターゲットを絞った政策対応を実施するなど、メリハリのある法人税体系を構築していく」と記載されているため、今後の動向には注視が必要だ。