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ジブリが作品の場面写真をフリー素材に!著作権へのスタンスを変化させた問題とは

2020/10/14更新

スタジオジブリが自社作品の場面写真の無償提供を始めた。ダウンロード可能な作品の中には、日本映画の興行収入歴代1位に輝く「千と千尋の神隠し」もあり、各作品50枚ずつとボリュームも十分。「常識の範囲内でご自由にお使いください」と記しているだけで、複雑な条件も付与していない。

興味深いのは、同社プロデューサーである鈴木敏夫氏の発言だ。同社法務部の「商用利用もやめてほしい」との発言に「何をもって商用利用というか、その境界線が難しくなっている」と反応。SNSやYouTubeで使うことは否定しなかった。むしろ、著作権の保護期間が2018年の法改正で作者の没後50年から70年に延長されたことで、作品そのものが消えてしまうリスクを指摘している。鈴木氏が指摘するリスクは、コンテンツビジネスの構造的な変化と無関係ではない。ジブリアニメは、興行収入で製作費を回収し、DVD

などの映像ソフト販売で収益を伸ばしていくビジネスモデルだった。しかし、映画館の入場者数はここ40年ほど横ばい。全体の興行収入は決して低調ではないが、伸びしろがあるとは言い難い。映像ソフト販売に至っては、レンタル市場もセル市場も縮小傾向で、今後はNetflixのような有料動画配信サービスが伸びていくことが確実だ。従来のスタイルを押し通しても「ジリ貧」になることは避けられない。

今回のスタジオジブリの判断は、自由に活用してもらうことで、作者への金銭的な還元の可能性を広げるべきだと主張しているように見える。過去には漫画家の佐藤秀峰さんが「ブラックジャックによろしく」の2次利用をフリー化し、収益の増加とビジネス拡大を実現させた例もある。もちろん、その背景にはインターネットやSNSの普及があり、口コミの速度と情報量が大幅に上がったバイラルマーケティングの効能もあるだろう。しかし、もはやそれを含めて、一昔前の「すべての動きを把握し、コントロールする」コンテンツビジネスのマネジメント術が通用しない時代となってきているのではないか。

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