「法人向け事業承継税制」に注目 拡充で飛躍的な増加が期待される
2019/6/19更新
事業承継の際の贈与税・相続税の納税を猶予する「法人向け事業承継税制」は、2018年度の税制改正で抜本的に拡充された。中小企業庁によると、拡充前は、年間400件程度の申請だったが、拡充後は、足元(本年2月現在)の申請件数は年間6000件に迫る勢いであり、爆発的に伸びている。
今後10年の間に、70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万が後継者未定という。こうしたなか、事業承継税制による中小企業・小規模事業者の円滑な事業承継が期待されている。
2018年度税制改正では、10年間(2018年1月1日から2027年12月31日)の特例措置として、各種要件の緩和を含む抜本的な拡充が行われた。基本は、2018年4月1日から2023年3月31日までの5年間以内に承継計画を作成して都道府県に提出した会社(「特例認定承継会社」)が、贈与・相続による事業承継を行う場合に適用される。
事業承継税制の抜本拡充の概要は、(1)対象株式数の上限を撤廃し全株式を適用可能にし、納税猶予割合も100%に拡大することで承継時の税負担ゼロになる。(2)親族外を含む複数の株主から、代表者である後継者(最大3人)への承継も対象にする。(3)承継後年間平均8割以上の雇用維持要件を未達成の場合でも、猶予を継続可能に。(4)売却額や廃業時の評価額を基に納税額を計算し、承継時の株価を基に計算された納税額との差額を減免する。