架空人件費の計上はダブルで追徴課税 納税していた源泉徴収額は還付?
2018/5/21更新
脱税の手口でポピュラーなのは経費の架空計上だが、特に中小企業にみられる手法に、実際には支払っていない給料やアルバイト代などの人件費の架空計上がある。
架空人件費の計上には、まったく架空の従業員をねつ造する強引な手口もあるが、多いのは勤務実態のない家族などを「社員」にして人件費を過大計上する手口だ。さらには、架空計上がばれないように、この架空人件費に対する源泉所得税を、ご丁寧に納税しているケースもみられる。きちんと源泉徴収しておけば、架空計上は調査されないと考えるのだろうが、税務調査はそんなに甘くはない。
このような所得の圧縮が税務調査などで判明した場合は、損金となっていた架空人件費が役員賞与とみなされて損金算入が否認され、増えた所得に対して法人税が追徴されるだけでなく、役員賞与として追徴課税される。つまりは、法人税と所得税で「ダブル追徴課税」されることになるわけだ。
ところで、上記の架空人件費に対して納税していた源泉徴収額については、実際には支給されていない給与に対するものであることから、還付の対象となる。第三者からみれば、税金をごまかしたペナルティーとして没収してもいいように思えるが、税法にはそのような罰則規定はない。納税の意図はともかく、間違って納めたものは返してくれる。
ともあれ、結局余分な税金を納めるはめにならないように、適正な申告を心がけたいものだ。