ESG投資を促すインセンティブ制度創設へ関連銘柄の株価上昇、企業文化成熟に期待
2017/11/17更新
資産運用の参考にすべき指数は、目的によって異なる。中長期的な安定を狙う場合、外せない指数のひとつがESGだ。ESGは環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字をとった用語。IoTやAIなどの技術革新を背景に、財務諸表に表れにくい人材や技術、ブランドといった無形資産を評価する傾向が高まったことで、重要視されるようになった。実際、ESGを考慮した投資は5年間で2倍以上に増えており、約2,600兆円と世界の投資額の約3割を占める。
ところが、日本ではESG投資はまだ一般的ではなく、50兆円程度の規模に止まる。ESG投資をしている投資家が少ないことの表れだが、ESGを意識した経営を行う企業の少なさも意味している。
一方、ESG指数も完全に信頼できるとは言い難い。国内最大の機関投資家・年金積立金管理運用独立行政法人が採用している指数算出会社のMSCIは、製品データの改ざんが発覚したあとも神戸製鋼所をESG指数に採用していた。情報開示が進んでいない日本の企業文化の未熟さと、企業調査の難しさを表しているといえる。このままでは日本企業の競争力が衰えると危機感を抱いた経済産業省は、10月26日にESGと無形資産投資に関する報告書「伊藤レポート2.0」を公表。企業価値を高め、ESG投資を促すためのインセンティブ制度の創設も提言。今後、関係省庁や機関と協力して速やかな実現を目指していくとしている。